
赤ちゃんがミルクを飲む姿は、とても微笑ましいですよね。
赤ちゃんは生まれてからの一年間で、およそ3倍まで体重が増えます。
特に初めの2~3か月で、2倍ほどまで増えるのですが、大きくなるためには、ほしがるだけミルクをあげてもいいものなのでしょうか。
目次
飲み過ぎってどういうこと?
ミルクには、月齢や体重に合わせて、一回当たりの量や一日当たりの量の目安が表示されていますね。
母乳との混合育児の場合は、母乳とのバランスを見て量を加減する必要があります。
ミルクのみの場合には、表示されている目安量に沿って与えてあげましょう。
特に新生児のうちは、泣いているのはおっぱいやミルク・おむつがほとんどだと思ってしまいますが、泣くたびにミルクをあげるともちろんあげ過ぎになってしまいます。
一般的に、ミルクの方が母乳よりも腹持ちがよい=消化に時間がかかると言われており、新生児期(~生後28日ごろまで)は授乳の間隔は3時間毎となります。
ミルクを飲む量には個人差があり、同じ赤ちゃんでも日によって量が異なることもあります。
それでも、次のような場合には、ミルクの飲み過ぎ・与えすぎの可能性がありますので、一度見直してみてはどうでしょうか。
- 一日のうちに、ミルクを吐いてしまうことが何回かある
- 下痢または便秘になっている
- 飲んでいるときに口からミルクがこぼれている
- お腹がパンパンになっている、苦しそうに泣く
赤ちゃんのうちは、目の前にあるものに吸い付く『吸綴反射』という本能が強く働きます。
そして、お腹がいっぱいかどうかを認識する満腹中枢が未発達です。
ですから、本当はお腹がいっぱいであっても、目の前に哺乳瓶があると赤ちゃんは吸い付いてしまい、結果飲みすぎてしまうということが起きるのです。
ミルクを飲む量の目安
ミルクの量の目安は、ミルクの間などにももちろん表記されていますが、一度一緒に確認してみましょう。
下記の量は、完全ミルクのみを想定したものですので、混合育児の場合は母乳とのバランスを見て、体重の増え具合を観察しながら量を調節してあげてくださいね。
ちなみに、ミルク育児の場合、新生児の1日当たりの体重増加の目安は25~30gと言われていて、母乳育児の場合はもう少し少ない(指標にもよりますが1日当たり15~30g程度)のが適正と言われています。
新生児期と呼ばれる、生後28日までの期間は、生後の日数によって適正量がどんどん変わっていきます。
1回あたりのミルクの目安量
- ~生後7日目…生後の日数×10ml+10ml (生後3日目だとすると、3×10+10=40ml)
- 生後7日目~14日ごろ…80~100ml
- 生後15日ごろ~28日ごろ…100~120ml
上記の量を目安として、3時間おきに授乳します。
とは言え、この時期は授乳回数も多いですし、毎回きっちりこの量を飲んでくれるとも限りません。
1日トータルの量でとらえると、お母さんも少し気が楽になるのではないでしょうか。
また、生後1か月になることには、お母さんも赤ちゃんも段々とペースがつかめてきて、量について悩むことは減ってくるようです。
母乳ならいくらあげてもいいの?
ミルクを飲みすぎている場合のサインをお伝えしましたが、母乳であればいくらでも好きなだけあげていいのでしょうか。
母乳にも適正量があります。
母乳・ミルクのどちらかに限ったことではありませんが、新生児が1日当たり50g以上も体重が増えるような場合は『過飲性症候群』と呼ばれています。
これは、赤ちゃんがなく=お腹が空いている、と考えて、泣くたびに授乳してしまうことが主な原因だと考えられています。
母乳を飲みすぎている場合にも、ミルクの飲み過ぎと同じような様子が見られます。
そのほかにも次のような様子が特徴として挙げられています。
- 1日当たり50g以上体重が増えている
- 舌が白っぽくなる、全身に湿疹が出る
- うんちが緑色っぽく、ジュルジュルとして泡立っている
こうした特徴が見られる場合には、母乳であっても飲ませすぎの可能性が高いことになります。
ミルクと違って母乳は出ている量をはかるのが難しいですから、ベビースケールなどを上手に利用して赤ちゃんの体重をチェックしたり、心配な場合には専門家に相談したりしてみましょう。
ただし、気をつけないといけないのは、完全母乳育児の場合、お母さんの判断だけで母乳の量を減らしてしまうと、赤ちゃんに必要な栄養が足らなくなってしまう可能性もあるということです。
量を減らした方がいいのでは、と思った時には必ず専門家の指導を受けましょう。
病院に相談したほうがいいの?
ミルクを飲む量が多くても、赤ちゃんが機嫌よく過ごしており、適度におしっこやうんちが出ていて、かつ体重の増え具合も適正であれば、心配することはありません。
ただし、次のような場合には、緊急処置が必要な病気などの可能性がありますので、病院の受診をおすすめします。
- 授乳するたびに、噴水のように吐いてしまう
- 嘔吐の回数がどんどん増え、体重が増えない
- 何度も嘔吐し、ぐったりしている、それによって眠れていない
- おしっこの回数・量が極端に減っている
- 血便が出ている
こうしたものには当てはまらないが、口からミルクがたらたらこぼれてきてしまうような場合は、『溢乳(いつにゅう)』と呼ばれ、赤ちゃんの胃が未発達であることから起きている状態ですので、大きな心配はいりません。
ですが、吐いたものによって窒息してしまう危険性がありますので、都度ガーゼなどでしっかりと口の周りや口の中を拭いてあげましょう。
胃の筋肉が発達してくる3か月頃には溢乳は収まってくることがほとんどです。
飲みすぎてしまっているときの対処法
赤ちゃんがミルクを飲みすぎているが、与えないと泣き止まないような場合には、どうしたらいいでしょうか。
いくつか案を上げてみます。
哺乳瓶の乳首のサイズを見直す
あえて一つサイズを下げることで、一気に飲んでしまうことを防げる場合も
抱っこしながらゆらゆらしたり、歌を歌ったり、気分転換をさせる
お母さんとのコミュニケーションによって安心して機嫌が直る場合も
白湯、赤ちゃん用の麦茶やイオンウォーターなどを利用する
飲みたいという欲求を満たしてあげることで泣き止む場合も
おしゃぶりで気分転換をさせる
おしゃぶりが大丈夫な赤ちゃんでしたら、上手に利用すれば効果的です
まとめ
意外とミルクの飲み過ぎ・飲ませすぎは多いものです。
1か月検診時に、約3割の赤ちゃんが飲み過ぎだったというケースもあるそうです。
特に新生児期は、赤ちゃんもお母さんもペースがわかってくるまでが大変でしょうが、この時期にミルクを飲みすぎてしまったことで、必ずしも肥満児になってしまうわけではありません。
赤ちゃんの様子をよく見て、そしてお母さんも気負いすぎず、不安な時には専門家など周囲の力を借りて楽しく育児ができるといいですね。