生まれたばかりの赤ちゃんにたびたび見られる「新生児黄疸」。
白目や体が黄色くなり、お母さんやご家族はとてもびっくりしてしまいますよね。
ひとことで黄疸といっても、特別な治療が必要なものから心配しなくても大丈夫なものまでさまざま。
そこで今回は「新生児黄疸」について詳しく解説します!
目次
そもそも「新生児黄疸」って?
「黄疸」というのは、何らかの理由で肌が黄色くなることをいいます。
新生児における黄疸のほとんどは、お母さんのお腹の中にいたときと生まれてからの環境の違いから呼吸の機能や血液の中身の変化が起こるために、赤血球が破壊され、血液中に「ビリルビン」という成分が増えることが原因となります。
しかし、これは「生理的黄疸」という比較的心配のいらない黄疸の場合です。
冒頭でもご説明しましたが、ひとことで黄疸といってもさまざまな種類があり、その原因もさまざまです。
新生児に起こる黄疸の種類
新生児の黄疸には大きく分けて、
- 生理的黄疸
- 母乳性黄疸
- 血液型の不適合による黄疸
- 胆道閉鎖症
の4種類があります。
原因や症状について、それぞれ詳しく解説していきます。
生理的黄疸(せいりてきおうだん)
生理的黄疸は、生後2~3日で起こる一時的な黄疸です。
およそ9割の新生児に発症するといわれているよく起こる黄疸で、4~5日でピークを迎え、1週間~10日後には改善することがほとんどです。
ひどくなったり、あまりにも長引いたりすることがなければ基本的には心配はいらないとされています。
母乳性黄疸(ぼにゅうせいおうだん)
母乳性黄疸は、名前の通り母乳が原因となって起こる黄疸です。
母乳に含まれる成分が、新生児の肝臓の働きを弱めてしまいます。
その結果、新生児の体内にあるビリルビンの効果が薄れてしまい、黄疸の症状があらわれます。
生理的黄疸は10日前後で症状が消えるのに対し、この母乳性黄疸は生後1か月を過ぎても黄疸の症状が続くこともあります。
母乳性黄疸なのか別の要因が引き起こす黄疸なのかを見分ける方法としては、一時的に母乳とミルクの混合育児に切り替えて様子を見るというものが一般的です。
母乳性黄疸ということがわかっていれば問題ありません。
しかし、ここで問題となるのが、新生児の黄疸が中々治らず1ヶ月以上続く場合は、小児科へ行くべきです。
これは、病的な黄疸の可能性があり、早めの治療が必要となるためです。
血液型の不適合による黄疸
通常であれば、妊娠中の母親の血液と新生児の血液は混ざることがなく、別々のものとして機能します。
しかし何らかの理由で赤ちゃんの血液がお母さん側に流れ込んでしまい、お母さんの体内で赤ちゃんの赤血球に対する免疫反応が起こり、その赤血球を攻撃する抗体ができてしまいます。
その時にできた抗体は胎盤を通って赤ちゃんの赤血球を破壊してしまい、その結果、生まれてきた赤ちゃんには生後すぐに黄疸や貧血の症状が現れます。
血液型の不適合による黄疸には、
「ABO型血液型不適合」
「Rh式血液型不適合」
の2種類があります。
中でも、「Rh式血液型不適合」による黄疸は症状が重く、発見時期によっては命に関わることがありますので、注意が必要となります。
胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)
先天性胆道閉鎖症は、約1万人の赤ちゃんに対して1人の確率で起こる病気です。
胆道が先天的な異常により詰まってしまうことで胆汁を腸に送ることができなくなってしまい、腸に送ることができずに行き場を失った胆汁は肝臓にとどまって肝臓の組織を壊してしまいます。
それによりさまざまな症状が現れてくるのが「胆道閉鎖症」です。
原因はまだわかっておらず、治療も難しいとされていますが、早期治療により予後が大きく変わってくるため早期に発見することが大切です。
胆道閉鎖症の特徴となる症状には黄疸や便の色の変色があげられます。
黄疸はあらわれない場合もありますが、新生児の便の色が白っぽく変色していたら大至急受診しましょう。
基準値を超えてしまうとどうなるの?治療法は?
医療機関において、新生児の黄疸が心配ない黄疸か治療が必要な黄疸かを見分けるのは、皮膚の上からビリルビンの数値を測る「経皮的ビリルビン検査」という方法が一般的です。
新生児のビリルビンの正常値は「5ml/dl以下」とされており、生理的黄疸の場合は一時的に13ml/dl前後になり、徐々に正常値に戻ります。
一方、ビリルビンの数値が「15ml/dl」(2,500g以下で生まれた低出生体重児の場合は「12ml/dl」)を継続的に超える場合は何らかの病的な原因によって黄疸の症状が出ていると考えられるため、詳しい原因を見つけるために血液検査が行われます。
新生児の黄疸を治療する方法はその原因によって変わってきますが、一般的には青や緑の光を赤ちゃんに当ててビリルビンの数値を下げる「光線治療」というものが行われます。
ですが、光線治療を行ってもビリルビンの数値が下がらないこともあります。
その場合、体内にある全ての血液を交換する「交換輸血」が行われる場合もあります。
お家でチェック!受診が必要な黄疸の見分け方
9割近くの新生児に黄疸は起こるといわれていますが、そのほとんどが治療の必要のない生理的な現象です。
しかし中には治療が必要となる黄疸もあり、そういった場合は早期発見と早期治療が重要となってきます。
以下にあてはまる場合は、治療が必要な黄疸の可能性がありますので、小児科などを受診されることをおすすめします。
- 生後1か月を過ぎても黄疸が改善されない
- 体重が増えない
- 灰色~白っぽい便が出る
- 赤茶色のおしっこが出る
そのほかにも、黄疸のほかに何か気になる症状が続く場合は受診しましょう。
まとめ
生まれたばかりの赤ちゃんには黄疸はよく起こることです。
赤ちゃんが黄疸と診断されるとお母さんはとても心配になってしまいますが、お医者さんを信じて、治療をがんばる赤ちゃんを応援してあげてください。
また、黄疸は産後の入院中から起こることもあれば退院後に起こることもあります。
毎日赤ちゃんとたくさん触れ合って、変化にはいち早く気づいてあげましょう。
どんな症状も早期発見と早期治療が肝心です。